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2025/06/19

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【会計初心者必見】仮払金とは?立替金・前払金との違いや決算処理を徹底解説

経理担当者の悩み解決!「仮払金」の基本と正しい使い方

日々の経理業務で「この支出、何の勘定科目で処理すればいいんだろう?」と迷ったことはありませんか?特に「仮払金」は、一時的な処理に便利な反面、正しく理解していないと後で困ってしまうことも。

この記事では、会計事務所のプロが、仮払金(かりばらいきん)の基本的な性質から、よく似た勘定科目との違い、そして決算時の正しい処理方法まで、具体的な仕訳例を交えながらわかりやすく解説します。

知っているようで知らない「仮払金」の本当の使い方をマスターして、スムーズな経理処理を目指しましょう!

仮払金って何?「仮に支払ったお金」の意味と役割

仮払金とは、文字通り「仮に支払ったお金」を指す勘定科目です。

  • 主な用途: 従業員への出張旅費の先渡しや、支出内容が一時的に不明な場合に一時的に使うことが多くあります。
  • 性質: 現時点ではまだ費用か資産か、あるいは返金されるものかが確定していないため、一時的に【資産】(流動資産)として計上します。内容が確定した時点で、本来の勘定科目(旅費交通費、会議費など)に振り替えるのがルールです。

<仮払金の基本的な仕訳例:出張費の先払い>
例えば、従業員に急な出張が決まり、交通費や宿泊費として10,000円を現金で渡した場合。まだ具体的な費用が確定していないので、以下のように仕訳します。

借方金額貸方金額
仮払金10,000小口現金10,000

(内容が確定するまで一時的に仮払金として計上)
後日、出張から戻った従業員が精算し、内訳が判明したとします。

  • 旅費交通費:5,500円
  • 会議費:1,500円
  • 残金:3,000円を小口現金で返金

この場合、以下のように費用に振り替え、残金を返金します。

借方金額貸方金額
旅費交通費5,500仮払金5,500
会議費1,500仮払金1,500
小口現金3,000仮払金3,000

(仮払金10,000円が費用と返金で相殺され、残高が0円になる)もし渡した金額より費用が多かった場合は、不足分を追加で支払います

借方金額貸方金額
旅費交通費5,500仮払金7,000
会議費1,500
交際費2,000小口現金2,000

(不足分2,000円を現金で追加支払い。仮払金10,000円が相殺され0円に)混同しやすいです。

仮払金・立替金・前払金・仮受金の違いを徹底比較仮払金とよく似ていて、会計初心者が間違えやすい勘定科目がいくつかあります。それぞれの違いをしっかり理解して、正しく使い分けましょう。

「立替金」:会社以外が負担すべき費用を一時的に立て替えたお金立替金は、取引先や従業員など「自分以外の誰かが負担すべき費用」を会社が一時的に立て替えて支払ったお金です。後で返金される性質を持つため、【資産】に分類されます。

<仕訳例>
取引先が支払うべき配送料20,000円を、会社が一時的に立て替えて普通預金から支払った場合。

借方金額貸方金額
立替金20,000普通預金20,000

後日、取引先から入金があったら相殺します。

借方金額貸方金額
普通預金20,000立替金20,000

「前払金(前渡金)」:商品・サービス購入の内金として先に支払ったお金前払金(前渡金)は、注文した商品やサービスの一部を内金として先に支払ったお金です。将来的にその商品やサービスを受け取る権利があるため、【資産】に分類されます。

<仕訳例>
商品を購入し、先に内金として40,000円を小口現金で支払った場合

借方金額貸方金額
前払金40,000小口現金40,000

後日、商品を受け取ったら相殺します。

借方金額貸方金額
仕入40,000前払金40,000

「仮受金」:内容が不明なまま一時的に受け取ったお金

仮受金(かりうけきん)は仮払金の逆で、「仮に受け取ったお金」を指します。入金があったものの、その内容や入金元が一時的に判明しない場合に使う勘定科目で、一時的な預かりのような意味合いで使用します。内容が確定したら、速やかに本来の勘定科目へ振り替えます。

<仕訳例>
会社の普通預金口座に15,000円の入金があったが、入金元が不明な場合

借方金額貸方金額
普通預金15,000仮受金15,000

後日、この入金がA株式会社への売掛金の入金であったことが分かった場合。

借方金額貸方金額
仮受金15,000売掛金(A株式会社)15,000

決算時の注意点!仮払金は「残さない」のが鉄則

仮払金はあくまで「仮」の勘定科目であるため、決算時に残しておくことは推奨されません。期末時点で仮払金が残っている場合は、その内容をすべて明らかにし、本来の勘定科目に振り替える必要があります。

  • 回収すべきものの場合: 「未収入金」などに振り替えます。
  • 費用である場合: 適切な経費の勘定科目(旅費交通費、消耗品費など)に振り替えます。

仮払金を残したまま決算を行うと、適正な決算ができず、法人税や消費税などの税金計算を正しく行えません。また、内容が資産の購入や経費の計上で消費税が発生するものであれば、この時に「仮払消費税」を計上します。(仮払金で処理した段階では内容が不明瞭なため、消費税は「対象外」となります。

仮払金の性質を理解して、正しい会計処理を!

仮払金は、経理業務を一時的にスムーズにする便利な勘定科目ですが、決算時には必ず内容を確定させ、ゼロにすることが重要です。日々の会計処理や税務に関して「煩わしい」「よく分からない」といったお悩みはありませんか?

当会計事務所では、日々の記帳業務から税務相談まで、ワンストップでサポートする「経理代行サービス」を提供しています。初回の無料面談もございますので、お気軽にご相談ください