職場における熱中症防止策が義務化へ!対応しないと罰則も
厚生労働省は、職場での熱中症による健康被害を未然に防ぐため、熱中症対策の新たな義務化に踏み切ります。
労働安全衛生規則の改正により、2025年4月公布、同年6月1日施行となる見込みです。これは、事業者に具体的な対策を求めるもので、違反した場合には罰則が科される可能性があります。
義務化の対象となる作業と事業者が講じるべき措置
今回の義務化の対象となるのは、「WBGT28度以上または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間以上の実施」が見込まれる作業です。
特に屋外での作業が多い建設業や、高温環境での作業が伴う製造業などは、早急な対応が求められます。事業者に義務付けられる措置は、主に以下の2点です
1. 熱中症に関する報告体制の整備
事業者は、熱中症の自覚症状がある労働者や、熱中症の恐れがある労働者を発見した者が、速やかに報告できる体制を整える必要があります。
具体的には、連絡先や担当者を事業場ごとに明確にし、関係労働者全員に周知徹底することが求められます。
さらに、単に報告を待つだけでなく、事業者自らが積極的に熱中症の症状がある労働者を見つけるための措置を講じることが推奨されています。
具体例としては、職場巡視の徹底、バディ制(複数人での作業時にお互いの体調をチェックし合う制度)の導入、そしてウェアラブルデバイスの活用などが挙げられます。
これらの取り組みにより、熱中症の初期症状を早期に発見し、重篤化を防ぐことが期待されます。
2. 熱中症重篤化防止のための手順(処置フロー)の作成と周知
もう一つの義務は、熱中症の重篤化を防止するための具体的な手順、いわゆる処置フローの作成と周知です。これには、以下の情報を含める必要があります。
- 事業場の緊急連絡網
- 緊急搬送先の連絡先と所在地
- 熱中症が疑われる具体的な症状
- 意識が異常な場合の判断基準
- 搬送中や経過観察中の適切な対応
これらの処置フローを事前に作成し、全ての労働者に周知することで、万が一熱中症が発生した場合でも、迅速かつ適切な対応が可能となり、重篤化を未然に防ぐことができます。
事業者は、この新しい義務化に迅速に対応し、労働者の安全と健康を守るための体制を確立することが急務です。