公認会計士・税理士・中小企業診断士 | 木村稔会計事務所

お知らせ

2025/06/20

お役立ち情報

会社設立で後悔しない!合同会社の意外なデメリットと株式会社を選ぶべき理由

合同会社設立が増加中!本当にあなたに最適な選択肢?

近年、設立コストの安さから合同会社での会社設立を検討する方が増えています。実際に合同会社を設立するケースも増加傾向にありますが、本当にあなたのビジネスにとって最善の選択なのでしょうか?

結論から申し上げると、当会計事務所としては、ほとんどのケースで株式会社での会社設立を強くおすすめしています。

今回は、合同会社設立における見落とされがちなデメリットと、それが将来的に事業にどのような影響を与える可能性があるのかを詳しく解説します。

1. 合同会社の最大デメリット:出資額に関わらず「1人1票」の議決権

合同会社のデメリットはいくつかありますが、最も注意すべき点は、出資金額にかかわらず、出資者が1人1票の議決権を持つという点です。

株式会社の場合は、より多くの株式(出資)を持つ者が強い議決権(発言権)を持つのが一般的です。

例えば、500株を持つ人は10株を持つ人よりも、会社の方針決定において大きな影響力を行使できます。

しかし、合同会社では、たとえ500万円出資した人と10万円出資した人であっても、会社の方針を決める際の権利は同じ「1票」となってしまいます。

この「1人1票」というルールが、後々大きな問題に発展する可能性があります。

2. 「1人1票」が招くトラブルとは?具体的なケースで解説

「1人で会社を設立するから合同会社で問題ないだろう」と考える方もいるかもしれません。

しかし、事業が成長し、新たなパートナーを迎え入れた際に、この「1人1票」の原則が思わぬトラブルの火種となることがあります。

<具体例>
あなたが100万円出資して設立した合同会社に、1年後、新たな事業パートナーを迎え入れることになりました。パートナーには事業の責任も担ってもらいたいため、役員になってもらおうと考えます。

合同会社の場合、出資者=役員(「社員」と呼びます)となるため、パートナーにも出資してもらう必要があります。ここで、あなたが100万円、パートナーが10万円を出資したとしましょう。

出資額には10倍もの差があるのに、会社の重要事項を決める際の議決権は、あなたもパートナーも同じ「1票」です。

やがて、事業運営においてパートナーと意見が食い違うことが出てきた場合、「法律上の権利は同じだから」とパートナーに主張され、話が前に進まなくなってしまう可能性があります。

合同会社では、このような出資者間の意見の相違が原因で、会社運営が停滞するリスクを常に抱えているのです。

その他にも、合同会社には以下のようなデメリットがあります。

  • 出資を受けにくい: 「出資=役員(社員)」となるため、気軽に外部からの出資を受けにくい構造です。
  • 社会的なイメージ: 「合同会社=小規模な会社」というイメージを持たれることもあり、取引や採用において不利になる可能性もゼロではありません。

3. 合同会社から株式会社への変更は可能?費用と期間のリスク

「もし問題が起きたら、後で株式会社に変更すればいい」と考える方もいるかもしれません。

確かに、合同会社から株式会社へ組織変更することは可能です。しかし、この組織変更には時間と費用がかかります。

特に注意すべきは、変更手続きに約2ヶ月程度の期間が必要となる点です。急な変更が必要になった場合に対応できないリスクがあります。

費用的にも、登録免許税や法律で定められた公告費用だけで最低10万円程度が発生します。

さらに、これらの変更手続きは専門知識が必要なため、司法書士に依頼するのが一般的であり、その報酬も別途発生します。

4. 設立コストだけでなく、将来のリスクと可能性に目を向けよ

「設立のコストをできるだけ抑えたい」という気持ちはよく理解できます。しかし、会社は一度設立したら数年から数十年続くものです。

目先の設立費用だけでなく、会社を運営していく上での潜在的なリスクや、将来の成長可能性を阻害しないかという視点を持つことが極めて重要です。

もしあなたが「1人で会社を設立し、今後もずっと1人で事業を続ける」「会社の成長は考えず、現状維持で十分」と考えているのであれば、合同会社も選択肢の一つとなり得ます。

しかし、将来的に従業員を雇う可能性がある、あるいは事業を拡大・成長させたいと考えているのであれば、合同会社であることがその後の足かせとなる可能性が高いです。

そのような場合は、株式会社での会社設立を強くおすすめします。

木村稔会計事務所では、会社設立に関するご相談を承っています。初回相談は1時間無料です。会社設立の疑問や不安、サポートのご要望など、代表の木村が丁寧にお答えしますので、どうぞお気軽にご相談ください。