建設業許可の基本:有効期間と更新を怠るリスク
建設業を継続して営むために不可欠な建設業許可には、5年間という有効期間が定められています。許可日から5年後の前日が満了日となり、継続するには定期的な更新手続きが義務付けられています。
許可の有効期間と更新申請のタイミング
- 有効期間: 許可を受けた日から5年間。満了日が土日祝日であってもその日に失効します。
- 更新申請: 原則、有効期間満了日の30日前までに申請が必要です。書類準備や不備対応の時間も考慮し、早めの準備(3ヶ月前目安)が重要です。業種追加や特定建設業への変更を伴う場合はさらに早く動き始めましょう。
更新を怠った場合のリスク
更新を忘れると、満了日をもって許可が失効し、事業継続に深刻な影響が出ます。
- 工事請負制限: 500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事が請け負えなくなります。
- 公共工事入札資格の喪失。
- 再取得の手間と費用: 新規申請(知事許可9万円、大臣許可15万円)となり、更新手数料(5万円)より高額になります。また、許可番号も変更されます。
更新のための要件:新規取得時と同様の継続要件
建設業許可を更新するためには、新規取得時と同様に、以下の基本要件を継続して満たしていることが求められます。
基本的な更新要件(一般・特定共通)
- 経営業務の管理責任者の配置: 建設業の経営経験を持つ常勤役員等の配置。
- 専任技術者の配置: 許可業種に関する資格・経験を持つ技術者の各営業所への常勤配置。
- 財産的基礎: 請負契約を履行できる財産的基礎を有すること。
- 誠実性: 不正または不誠実な行為をするおそれがないこと。
- 欠格要件に該当しないこと。
特定建設業許可の厳格な財産的基礎要件
特定建設業の更新には、直前決算の財務諸表で以下のすべての要件を満たす必要があります。
- 資本金:2,000万円以上
- 自己資本:4,000万円以上
- 欠損比率:資本金の20%を超えていない
- 流動比率:75%以上
更新前の重要確認事項と必要な提出書類
スムーズな更新のため、申請前に以下の事項を必ず確認しましょう。
事前チェックリスト
- 決算変更届の提出状況: 毎年、事業年度終了後4ヶ月以内の提出が必須です。未提出の場合は更新申請ができません。
- 各種変更届の提出漏れ: 役員変更、商号変更、営業所移転など、変更があった場合はその都度届出が必要です。
- 社会保険の加入状況: 健康保険、厚生年金保険、雇用保険への適切な加入と証明書類の準備が必要です。
主な提出書類(一部抜粋)
- 申請書類: 建設業許可申請書、役員等の一覧表、営業所一覧表(更新用)、専任技術者一覧表、誓約書など。
- 証明書類: 常勤役員等証明書、身分証明書(本籍地の市区町村役場で取得、取得から3ヶ月以内のものが有効)など。
- 確認資料: 健康保険等の加入状況確認書類、決算書類(貸借対照表、損益計算書等)など。
更新の手続きスケジュールと専門家への依頼
更新手続きは計画的に進める必要があります。
効率的な更新スケジュール(目安)
時期 | 実施事項 |
3ヶ月前 | 有効期限確認、決算・変更届の提出状況チェック、必要書類リストアップ。 |
2ヶ月前 | 証明書類の取得(身分証明書など)、申請書類の作成。 |
1ヶ月前 | 書類の最終チェック、管轄の行政庁へ申請・手数料(5万円)納付。 |
申請から許可までの流れ
申請書提出後、書類に不備がなければ審査が開始されます。審査期間は通常1ヶ月程度です。審査中に有効期間が満了しても、適正に申請していれば以前の許可が継続とみなされます。
専門家(行政書士)への依頼
自社で手続きする場合、行政手数料(5万円)と証明書費用のみで済みますが、書類作成や手続きに時間と労力がかかります。
木村会計事務所では、提携する行政書士と連携し、煩雑な更新手続きをサポート。不備なくスムーズに更新を完了させるためにも、専門家への依頼(報酬目安:8万円〜15万円程度)を検討することをおすすめします。