公認会計士・税理士・中小企業診断士 | 木村稔会計事務所

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2025/10/17

お役立ち情報

数字が苦手でも大丈夫!小さな会社・個人事業主のための「カンタン経営数字の見方」ガイド

経営者がまず見るべき最重要指標:「今あるお金(現金)」のチェックリスト

「売上はあるのに、なぜかお金が残らない」という悩みは、利益と現金が別物だから起こります。帳簿上の利益より、実際に使える手元の現金や預金こそが、会社を倒産させないための最重要指標です。

現金・預金を把握する3つのステップ

まず、以下のステップで資金繰りの基礎を固めましょう。

  1. 残高の合計把握: 現金+普通預金の合計が「今使えるお金」です。帳簿残高と実際のお金が一致しているか確認しましょう。
  2. 増減の確認: 先月と比べて「お金が増えたのか、減ったのか」という変化に注目しましょう。
  3. 増減の理由考察: 増減の事実から、「なぜそうなったのか?」原因を逆算して考えましょう。原因を把握することで、経営の改善点が見えてきます。

現金は「売上の2ヵ月分」が目安

手元の現金・預金の合計は、売上の2ヵ月分を目安に確保することが推奨されます。これより少ないと、急な仕入れや予期せぬ出費に対応できず、資金繰りが苦しくなる恐れがあります。

会社の成績表を読解!売上・原価・経費・利益の関係性

会社の調子を把握するには、損益計算書(PL)の基本構造を押さえましょう。難しい会計知識は不要です。

項目内容意味合い
売上収入の総額いくら稼いだか
原価商品・サービスの直接コスト稼ぐために直接かかった費用
経費会社運営のための費用お店を回すためのその他の費用
利益売上 – 原価 – 経費どれだけ儲かったか

この4つの数字を、前年同月予算と「比較」することで、売上や経費の変化を読み解き、具体的な課題とチャンスを見つけられます。

経営を見える化!グラフで「異常」と「傾向」をキャッチする

数字が苦手な人ほど、グラフ化(見える化)が有効です。数字を直感的に理解し、違和感や傾向に早く気づく習慣をつけましょう。

異常に気づくチェックリスト

毎月の数字チェックで「あれ?」という違和感を見逃さないことが、ムダな出費やミスを防ぎます。

  • 異常な増減: 交際費や消耗品費など、特定の経費が前月比で急増・急減していないか。
  • 感覚とのズレ: 「このくらいの売上のはず」という感覚と実際の数字がズレていないか(請求漏れ、入力ミス、過剰在庫などのサイン)。

傾向を掴むグラフの活用

  • 3期比較グラフ: 過去数年の売上や利益を比較し、成長や停滞の様子をひと目で確認。
  • 移動年計グラフ: 直近12ヵ月分の合計を追うことで、季節的な短期のブレに惑わされず、売上の本当の流れを把握できます。

売上を「分解」して具体的な戦略を見つける

売上全体の数字だけでなく、「なぜその売上になったのか」を分解することが、成長のヒントになります。

売上分解の切り口

売上を「部門別」「顧客別」「商品別」「新規/既存」などで細かく分析し、売上が特定の顧客や商品に偏っていないか(リスク)、どの事業が特に稼いでいるか(強み)を見つけましょう。

単価と販売数の戦略

売上は「単価 × 販売数」で決まります。

  • 単価を伸ばす戦略: 値上げ、高付加価値化、上位商品の開発。
  • 販売数を伸ばす戦略: 顧客数増加、購入頻度向上、販路拡大。

木村会計事務所は、数字の裏側にある経営の課題を発見し、具体的な改善策をサポートします。

会社の「体力」を測る重要指標:BS・PLの活用

利益だけでは見えない会社の体力や資金繰りの安全性を、貸借対照表(BS)損益計算書(PL)の指標でチェックしましょう。

指標(PL)計算式意味
粗利率(売上−原価)÷売上商品・サービスでどれだけ効率よく儲けたか
営業利益率営業利益÷売上本業でどれだけ効率よく儲けたか
労働分配率人件費÷粗利益稼いだ利益のうち人件費が占める割合

これらの指標の推移をチェックすることで、「仕入れ単価が高騰していないか(粗利率)」「人件費が利益を圧迫していないか(労働分配率)」といった経営の効率性が把握できます。