建設業の成長法則:売上公式と経営目標
日々多くの建設業の方々とお付き合いさせていただく中で、建設業の成長には一定の法則があることを木村会計事務所は感じています。どの業種でも基本となる会計の公式は「売上=単価×販売数」です。
建設業の売上も、この公式に当てはまります。
- 人工で仕事をする会社: 「1人当たりの日当単価 × 現場に入っている人数」
- 請けで仕事をする会社: 「請けた現場単価 × 稼働している現場数」
多くの経営者はこの売上の感覚は持っていますが、次に目指すべき目標は「売上」自体ではありません。
なぜ「損益分岐点を超える粗利額」を目標とすべきか?
建設業が最初に目標とすべき数字は「損益分岐点を超える粗利額」です。
損益分岐点とは?
損益分岐点とは、「売上 – 原価 – 経費 = 0円」になるポイントです。このポイントを超えることで、会社に利益が残るようになります。
これを「粗利額」で言い換えると、「粗利額 – 経費 = 0円」のポイントになります。
売上ではなく「粗利額」を追う理由
多くの会社で、売上からざっくりとした粗利率(例:粗利率40%)を引いて計画を立てますが、建設業では現場や案件ごとに粗利率が大きく変動するため、このざっくりとした計画は現実と乖離しがちです。
例えば、A現場で粗利60%、B現場で粗利30%という状況は日常茶飯事です。
そこで、粗利額(売上 – 原価)を目標とします。社長は「売上」だけでなく「この現場がどのくらい儲かりそうか」という粗利の感覚を同時に持っています。
この感覚を基に計算した「粗利額の合計が、毎月の経費の額を超えれば、会社は利益が残る」というシンプルな目標設定が、初期段階の建設業にとって最も早期に効果を発揮します。
「頭の中の粗利額」と「現実の粗利額」のズレを埋める重要性
木村会計事務所では、社長の「頭の中の粗利額」という感覚的な予測と、「現実の数字としての粗利額」という会計上の実績との差異を小さくする作業を重視します。
差異を小さくするメリット
経営者は希望的観測で売上や利益を見積もりがちですが、実際の人件費、外注費、材料代などを正確に計算して突き合わせることで、以下のような効果が得られます。
- 未来予測の精度向上: 差異が小さくなることで、大掛かりな計画書を作成しなくても、未来の予測(来月どれくらい利益が残りそうか)ができるようになります。
- 早期の経営改善: 「なぜか利益が残らない」という会社が、どの現場で粗利が取れていないのかを早期に特定し、改善に繋げることができます。
企業として拡大を目指す段階ではもちろん計画書が必要ですが、初期の段階や利益体質を改善したい会社にとっては、この「粗利額」を軸とした現実との摺り合わせが、早期に効果を出すための最も重要な取り組みだと考えます。
木村会計事務所では、建設業の個人事業主から法人まで幅広くお手伝いしております。初回面談0円でご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。




