公認会計士・税理士・中小企業診断士 | 木村稔会計事務所

お知らせ

2025/12/18

お役立ち情報

年末の賃上げ判断が節税につながる

12月は、多くの企業にとって
「賞与の支給」
「来期の給与設計」
「決算を見据えた最終調整」
を同時に考える重要な時期です。

この年末の判断次第で、
「人件費が増えただけで終わるか」
「社員満足度を高めながら、税金も抑えられるか」
が大きく変わることをご存じでしょうか。

その分かれ道となる制度が、
「賃上げ促進税制」です。

■ 賃上げ促進税制とはどんな制度か?

賃上げ促進税制は、
前期と比べて従業員への給与支給額を増やした企業に対し、税額控除を認める制度です。

単に
「人件費が増えて利益が減る」
という従来の考え方ではなく、

賃上げを行った分、税金そのものを直接減らせる

という点が最大の特徴です。

中小企業の場合、一定の要件を満たせば
給与等支給額の増加分に対して、最大40%の税額控除
が受けられる可能性があります。

■ なぜ「12月」が賃上げ促進税制の重要なタイミングなのか

① 12月賞与が「賃上げ」に含まれるケースがある

賃上げ促進税制で対象となる「給与等」には、
毎月の給与だけでなく、賞与(ボーナス)も含まれます。

つまり、
12月に支給する賞与の金額次第で、
✔ 賃上げ要件を満たす
✔ 税額控除の対象になる

という可能性が出てきます。

年末に
「賞与をどうするか」
「一時金を出すべきか」
と悩んでいる経営者にとって、
税制を踏まえた判断ができるかどうかは大きな差になります。

② 来期の賃金設計は年末の意思決定で決まる

賃上げ促進税制は、
前期との比較によって適用可否が判断されます。

そのため、

  • 来期の基本給を上げるか
  • 定期昇給を実施するか
  • 人件費総額をどの程度まで許容するか

といった判断を、
12月〜年明けにかけて整理しておくことが不可欠です。

「結果的に賃上げしていたが、制度を意識していなかったため適用できなかった」
というケースは決して少なくありません。

■ 中小企業にとっての賃上げ促進税制のメリット

人手不足が続く中で、
中小企業経営者からは次のような声をよく聞きます。

  • 賃上げはしたいが、資金繰りが不安
  • 社員の定着率を上げたい
  • 採用面で大手企業と差がついている

賃上げ促進税制は、こうした悩みに対して
「賃上げ=コスト増」という発想を転換できる制度です。

◎ 社員への還元

◎ 採用・定着率の向上

◎ 税額控除による節税

この3つを同時に狙える点が、大きな魅力といえます。

■ 注意すべきポイント|使えると思っていたら使えないケースも

賃上げ促進税制はメリットが大きい一方で、
要件を正しく理解していないと適用できない制度でもあります。

特に注意が必要なのは以下の点です。

・役員給与は原則対象外

役員のみ給与を上げても、制度は使えません。

・比較対象となる「給与総額」の計算方法

どこまでを含めるかを誤ると、要件未達になることがあります。

・パート・アルバイトの扱い

雇用形態によって計算方法が異なる点に注意が必要です。

・赤字の場合、控除を使い切れない可能性

税額控除は、税金が発生して初めて効果を発揮します。

12月は判断を急ぎがちな時期だからこそ、
事前に専門家の確認を受けることが重要です。

■ 年末にやっておきたい「賃上げ促進税制」チェックリスト

12月中に、次の点を整理しておくことをおすすめします。

✔ 前期と比べて給与総額はどれくらい増えているか
✔ 12月賞与を含めた場合、要件を満たすか
✔ 来期の昇給計画をどうするか
✔ 税額控除額はいくら見込めるか
✔ 決算・資金繰りへの影響はどうか

これらを事前に把握することで、
「後悔しない賃上げ判断」が可能になります。

■ 木村稔会計事務所のサポートについて

木村稔会計事務所では、年末に向けて
賃上げ促進税制に関する以下のサポートを行っています。

  • 制度の適用可否チェック
  • 賞与・昇給シミュレーション
  • 税額控除額の試算
  • 決算・来期計画を踏まえた人件費設計アドバイス

「賃上げをするなら、今がベストなのか」
「賞与の出し方で、税金はどれくらい変わるのか」

こうした疑問をお持ちの方は、
12月のうちのご相談が最も効果的です。

年末の賃上げ判断を、
「コスト」ではなく「戦略」に変えるために。
ぜひ一度ご相談ください。