12月は、多くの企業にとって
「賞与の支給」
「来期の給与設計」
「決算を見据えた最終調整」
を同時に考える重要な時期です。
この年末の判断次第で、
「人件費が増えただけで終わるか」
「社員満足度を高めながら、税金も抑えられるか」
が大きく変わることをご存じでしょうか。
その分かれ道となる制度が、
「賃上げ促進税制」です。
■ 賃上げ促進税制とはどんな制度か?
賃上げ促進税制は、
前期と比べて従業員への給与支給額を増やした企業に対し、税額控除を認める制度です。
単に
「人件費が増えて利益が減る」
という従来の考え方ではなく、
賃上げを行った分、税金そのものを直接減らせる
という点が最大の特徴です。
中小企業の場合、一定の要件を満たせば
給与等支給額の増加分に対して、最大40%の税額控除
が受けられる可能性があります。
■ なぜ「12月」が賃上げ促進税制の重要なタイミングなのか
① 12月賞与が「賃上げ」に含まれるケースがある
賃上げ促進税制で対象となる「給与等」には、
毎月の給与だけでなく、賞与(ボーナス)も含まれます。
つまり、
12月に支給する賞与の金額次第で、
✔ 賃上げ要件を満たす
✔ 税額控除の対象になる
という可能性が出てきます。
年末に
「賞与をどうするか」
「一時金を出すべきか」
と悩んでいる経営者にとって、
税制を踏まえた判断ができるかどうかは大きな差になります。
② 来期の賃金設計は年末の意思決定で決まる
賃上げ促進税制は、
前期との比較によって適用可否が判断されます。
そのため、
- 来期の基本給を上げるか
- 定期昇給を実施するか
- 人件費総額をどの程度まで許容するか
といった判断を、
12月〜年明けにかけて整理しておくことが不可欠です。
「結果的に賃上げしていたが、制度を意識していなかったため適用できなかった」
というケースは決して少なくありません。
■ 中小企業にとっての賃上げ促進税制のメリット
人手不足が続く中で、
中小企業経営者からは次のような声をよく聞きます。
- 賃上げはしたいが、資金繰りが不安
- 社員の定着率を上げたい
- 採用面で大手企業と差がついている
賃上げ促進税制は、こうした悩みに対して
「賃上げ=コスト増」という発想を転換できる制度です。
◎ 社員への還元
◎ 採用・定着率の向上
◎ 税額控除による節税
この3つを同時に狙える点が、大きな魅力といえます。
■ 注意すべきポイント|使えると思っていたら使えないケースも
賃上げ促進税制はメリットが大きい一方で、
要件を正しく理解していないと適用できない制度でもあります。
特に注意が必要なのは以下の点です。
・役員給与は原則対象外
役員のみ給与を上げても、制度は使えません。
・比較対象となる「給与総額」の計算方法
どこまでを含めるかを誤ると、要件未達になることがあります。
・パート・アルバイトの扱い
雇用形態によって計算方法が異なる点に注意が必要です。
・赤字の場合、控除を使い切れない可能性
税額控除は、税金が発生して初めて効果を発揮します。
12月は判断を急ぎがちな時期だからこそ、
事前に専門家の確認を受けることが重要です。
■ 年末にやっておきたい「賃上げ促進税制」チェックリスト
12月中に、次の点を整理しておくことをおすすめします。
✔ 前期と比べて給与総額はどれくらい増えているか
✔ 12月賞与を含めた場合、要件を満たすか
✔ 来期の昇給計画をどうするか
✔ 税額控除額はいくら見込めるか
✔ 決算・資金繰りへの影響はどうか
これらを事前に把握することで、
「後悔しない賃上げ判断」が可能になります。
■ 木村稔会計事務所のサポートについて
木村稔会計事務所では、年末に向けて
賃上げ促進税制に関する以下のサポートを行っています。
- 制度の適用可否チェック
- 賞与・昇給シミュレーション
- 税額控除額の試算
- 決算・来期計画を踏まえた人件費設計アドバイス
「賃上げをするなら、今がベストなのか」
「賞与の出し方で、税金はどれくらい変わるのか」
こうした疑問をお持ちの方は、
12月のうちのご相談が最も効果的です。
年末の賃上げ判断を、
「コスト」ではなく「戦略」に変えるために。
ぜひ一度ご相談ください。




