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2025/06/26

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個人事業主が陥りやすい脱税の罠とは?バレる仕組みと3つの具体例

個人事業主が知らずに脱税?!税務署のチェック体制とリスク

個人事業主として事業を営む中で、「知らず知らずのうちに税務リスクを抱えていた」という事態は避けたいものです。

今回は、個人事業主が陥りやすい脱税の具体例を挙げながら、その「バレる仕組み」と「潜むリスク」を徹底解説します。正しい税務申告で、安心して事業を継続するための参考にしてください。

脱税がバレる仕組みとは?

税務署の監視の目税務署は、あなたの事業が正確に申告されているかを、さまざまな情報源から厳しくチェックしています。

  • 支払調書との突き合わせ: あなたの取引先が税務署に提出する支払調書は、税務署が売上情報を把握する主要な情報源です。申告内容と支払調書に不整合があれば、すぐに発覚します。
  • 銀行口座の振込記録: 事業用の銀行口座はもちろん、個人の口座も含め、不審な大金の入出金や継続的な取引は細かく確認されます。
  • 税務調査: 税務調査が入れば、帳簿、領収書、請求書などの書類だけでなく、個人のライフスタイルや生活実態まで確認されることもあります。

これらの情報源を多角的に分析することで、不正な申告は高確率で露見します。

個人事業主が特に注意すべき3つの脱税行為

ここでは、個人事業主が陥りやすい具体的な脱税行為と、それがなぜバレるのかを詳しく見ていきましょう。

1. 売上を隠す(売上除外)

どういうこと?
取引先から得た売上の一部を意図的に申告せず、所得を実際より少なく見せかける行為です。

なぜバレるのか?
最も典型的なパターンは、取引先が税務署に提出する支払調書とあなたの申告内容が一致しないことで発覚します。

例えば、取引先が100万円を支払ったと申告しているのに、あなたが80万円しか売上として申告していなければ、20万円の不整合が浮上します。

また、取引先が税務調査を受けた際に、あなたの隠していた売上が露見するケースも少なくありません。

2. 事業と関係ない支出を経費にする(架空経費・プライベート経費)

どういうこと?
個人的な支出や、事業とは無関係な費用を、あたかも事業に必要な経費であるかのように申告する行為です。

なぜバレるのか?
税務調査では、提出された領収書や請求書だけでなく、支出内容の事業との関連性や実態が厳しく確認されます。

  • 例1: 家族旅行の宿泊費を「出張費」として計上。
  • 例2: 自宅のリフォーム費用を「事務所改装費」として計上。
  • 例3: プライベートな飲食代を「会議費」として計上。

これらの支出が事業と無関係だと判断されれば、経費として認められず、修正申告を求められます。

3. 実体のない人や業者に給与・外注費を払う(架空人件費・架空外注費)

どういうこと?
実際には存在しない従業員や外注先を設定したり、実際に働いていない家族などに対し、給与や外注費を支払ったように装い、経費として計上する行為です。

なぜバレるのか?
税務署は給与や外注費の支払状況を詳細に調査できます。

  • 振込記録の確認: 実際に給与や外注費が支払われているか、誰に支払われているかを銀行口座の記録から確認します。
  • 本人確認: 支払先の実在性や業務の実態を確認するため、本人や関係者への問い合わせが行われることもあります。
  • 業務実態の確認: どのような業務を依頼したのか、その対価として適正な金額だったのか、証拠書類や契約内容から実態が伴っているかを判断します。

これらの調査により、架空の支払いであることは容易に露見します。

脱税が発覚した場合の重いリスク

脱税行為は、目先の利益をもたらすかもしれませんが、発覚した際のリスクは計り知れません。

  • 追加税負担: 本来納めるべき税額に加え、修正申告が必要となり、加算税(過少申告加算税、無申告加算税、重加算税)や延滞税などのペナルティが課されます。特に重加算税は、本来の税額の35%~40%という非常に高い税率が課されます。
  • 信頼の損失: 税務署からの信頼を失うだけでなく、取引先や金融機関、社会からの信用も失墜します。これにより、事業の継続が困難になるケースも少なくありません。
  • 法的リスク: 悪質な脱税と判断された場合、刑事告発され、罰金や懲役刑などの刑事罰を受ける可能性もあります。

正しい税務申告で安心安全な事業運営を

脱税行為は、税務調査で非常に高い確率で発覚し、最終的には重いペナルティを受けることになります。「これくらいなら大丈夫だろう」という安易な考えが、取り返しのつかない大きな問題に発展してしまうことを肝に銘じてください。

個人事業主にとって、日々の適切な帳簿管理と正しい税務申告は、事業を健全に継続するための基本中の基本です。

短期的な利益のために長期的な信用や事業そのものを失うリスクを冒すのではなく、正しい方法で税務申告を行い、安心して事業を続けられる環境を作りましょう。

細かいところはなかなかわからないことが多いため、専門の士業に確認された方がいいです。また、帳簿管理など業務多忙でどうしても後回しになる場合があります。

木村会計事務所では代表の木村が直接、無料相談を承ります。お気軽にご相談ください。