9月に入り、少しずつ秋の気配を感じる季節になりました。
企業にとって9月は、1年の後半に向けて事業計画や経営状況を見直すタイミングでもあります。
上期の数字を振り返りながら、
「今後、会社をどのように成長させていくか」
「数年後の経営をどうするか」
「自分が引退した後、会社を誰に任せるのか」
といった、会社の将来について考える経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に中小企業の経営者にとって、避けて通れないテーマの一つが「事業承継」です。
「いつかは子どもに会社を継いでもらいたい」
「社員の中から後継者を探したい」
「後継者が見つからない場合はM&Aも考えたほうがいいのだろうか」
このように考えていても、日々の経営に追われ、「まだ先の話だから」と後回しになっているケースは少なくありません。
しかし、事業承継は短期間で完了するものではありません。
だからこそ、まだ具体的な引退時期が決まっていない段階から、少しずつ準備を始めることが大切です。
■中小企業の事業承継は「早めの準備」が重要
なぜ事業承継には時間がかかるのか?
事業承継というと、「後継者を決めて会社を譲る」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。
しかし、実際には後継者を決めるだけではありません。
会社を次の世代へ引き継ぐためには、
- 後継者の選定・育成
- 経営権の引き継ぎ
- 自社株式の整理
- 会社の財務状況の確認
- 相続・贈与に関する税務対策
- 取引先や従業員への対応
- 経営理念や技術、ノウハウの承継
など、さまざまな準備が必要になります。
特に経営者が所有している自社株式については、事業承継の方法によって税務上の取り扱いが変わるため、早い段階から確認しておくことが重要です。
「まだ元気だから大丈夫」が落とし穴になることも
「自分はまだ元気だから、事業承継はもう少し先でいい」
そう考える経営者の方も少なくありません。
もちろん、元気なうちは目の前の事業に集中したいというお気持ちは自然なものです。
しかし、事業承継には後継者の育成や会社の整理など、時間をかけて取り組むべきことが数多くあります。
いざというときに慌てないためにも、元気なうちから「会社を将来どうするのか」を考えておくことが大切です。
■事業承継にはどのような方法がある?
①親族への事業承継
代表的な方法の一つが、子どもや親族などへ会社を引き継ぐ「親族内承継」です。
経営者の考え方や会社の文化を引き継ぎやすい一方で、相続や贈与、自社株式の移転など、税務面で検討すべき事項があります。
後継者となる親族に経営を任せる場合には、経営者としての育成も必要になります。
②従業員・役員への事業承継
親族に後継者がいない場合には、役員や従業員へ会社を引き継ぐ方法もあります。
長年会社で働いてきた人材であれば、事業内容や従業員、取引先について理解しているというメリットがあります。
一方で、自社株式の取得資金などが問題になる場合もあるため、早めに資金面や税務面を検討する必要があります。
③M&Aによる第三者への事業承継
後継者が社内にも親族にもいない場合には、第三者へ事業を引き継ぐM&Aも選択肢になります。
「M&A=会社を売却する」というイメージを持つ方もいらっしゃいますが、事業を次の経営者へつなぎ、従業員の雇用や取引先との関係を守るための方法として活用されるケースもあります。
「後継者がいないから廃業するしかない」と決める前に、M&Aを含めて複数の選択肢を検討することが重要です。
■事業承継で税務・会計の確認が重要な理由
①自社株式の価値を把握していますか?
中小企業の事業承継では、会社の株式が重要なポイントになります。
長年にわたって利益を積み重ねてきた会社では、経営者が思っている以上に自社株式の価値が高くなっている場合もあります。
そのため、
「会社は順調だから問題ない」
と思っていても、株式を次の世代へ移す段階になって初めて税務上の問題に気づくことがあります。
事業承継を円滑に進めるためには、会社の財務状況や株式の評価などを早めに確認しておくことが大切です。
②相続・贈与についても早めの検討が必要
親族へ会社を引き継ぐ場合には、相続や贈与に関する税務も重要になります。
どのタイミングで、どのような方法で株式を移すのかによって、税負担が変わる可能性があります。
また、事業承継税制など、一定の要件を満たすことで利用できる制度もあります。
制度の利用には要件や期限などがあるため、「事業承継を考え始めた」という段階で専門家に相談しておくと安心です。
■9月は事業承継について考え始める絶好のタイミング
9月は下期に向けて経営計画を見直す時期です。
「今年の売上はいくらになりそうか」
「利益はしっかり残っているか」
「今後どのような事業に力を入れるか」
という目の前の経営課題だけでなく、
「5年後、10年後もこの会社を続けていくにはどうすればいいか」
という長期的な視点を持つことも大切です。
事業承継は、何か問題が起きてから考えるのではなく、会社が順調に経営できているうちに準備を始めることで、より多くの選択肢を持つことができます。
「まだ後継者が決まっていない」
「親族に継いでもらうか迷っている」
「M&Aも選択肢として考えてみたい」
という段階でも、決して早すぎる相談ではありません。
■木村稔会計事務所が事業承継をサポートします
木村稔会計事務所では、日々の税務・会計業務だけでなく、事業承継に関するご相談やサポートにも対応しております。
事業承継では、会社の数字だけを見るのではなく、経営者の想いや後継者の状況、従業員、取引先、そして将来の経営まで含めて考えることが重要です。
「何から始めればいいのか分からない」
「自社株式について一度確認したい」
「相続や贈与について早めに準備したい」
「後継者がいないのでM&Aも検討したい」
このようなお悩みがございましたら、具体的な承継方法が決まっていない段階でもお気軽にご相談ください。
9月は、これからの会社経営を見つめ直す良い節目です。
大切に育ててきた会社を次の世代へつなぐために、下期の経営計画と一緒に「事業承継の準備」についても考えてみませんか。




