8月は、お盆休みや夏季休暇などを利用して、普段はなかなか時間を取れない「会社のこれから」について考える経営者の方も多い時期です。
「今期の利益はどのくらいになりそうか」
「会社に残った利益をどう活用するか」
「将来の事業承継や資産の引き継ぎをどうするか」
このように、会社の数字だけでなく、経営者ご自身の資産や将来について考える機会もあるのではないでしょうか。
そんな中、税制のニュースなどで目にする機会が増えているのが「ミニマムタックス」です。
「名前は聞いたことがあるけれど、結局どんな制度なの?」
「会社経営者にも関係するの?」
「自分も対象になるの?」
今回は、経営者の方にも知っておいていただきたいミニマムタックスについて、できるだけ簡単に解説します。
■ミニマムタックスとは?簡単にいうと「極めて高い所得への最低限の税負担」
「1億円の壁」への対応として導入された制度
ミニマムタックスとは、正式には「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」と呼ばれる制度です。
日本の所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる累進課税が基本です。
しかし、所得が非常に高額になると、給与や事業所得だけでなく、株式の売却益や配当など、比較的税率の低い金融所得の割合が大きくなることがあります。
その結果、「所得が非常に高い人ほど、所得全体に対する税負担率が低くなる」という現象が生じることがあり、いわゆる「1億円の壁」として課題になっていました。
そこで、極めて高い水準の所得がある人について、一定の最低税負担を求めるために導入されたのがミニマムタックスです。
■ミニマムタックスはどのような仕組み?
3億3,000万円を超える基準所得金額が一つの目安
ミニマムタックスでは、基準所得金額から3億3,000万円を控除した残額に22.5%を乗じて「最低基準税額」を計算します。
そして、通常の方法で計算した所得税額と比較し、ミニマムタックスによる最低基準税額のほうが大きければ、その差額を追加で納める仕組みです。
つまり、簡単にいえば、
「非常に高額な所得があるにもかかわらず、所得の種類などによって税負担が低くなっている場合に、一定水準まで税負担を求める」
という制度です。
■中小企業の経営者にも関係する?
多くの経営者にとっては、すぐに対象となる制度ではありません
ここで気になるのが、「自分にも関係するの?」という点ではないでしょうか。
結論からいうと、一般的な会社員や、多くの中小企業経営者・個人事業主がミニマムタックスの対象になるケースは多くありません。
対象となるのは、極めて高額な所得がある方に限られます。
そのため、「ミニマムタックスが導入されたから、普通の中小企業にも税負担が大きくかかる」という制度ではありません。
ただし、会社を経営している方だからこそ、知っておきたいポイントがあります。
■経営者がミニマムタックスを知っておくべき理由
自社株式や事業承継を考えるときには「会社」と「個人」の税務を分けて考えられない
中小企業の経営者にとって、会社の利益だけが資産ではありません。
長年会社を経営していると、自社株式の価値が大きくなっているケースもあります。
また、将来的に、
- 自社株式を売却する
- M&Aを行う
- 事業承継をする
- 資産を次の世代へ引き継ぐ
- 会社を売却して引退する
といった選択をする可能性もあります。
こうした場面では、「会社の税金」だけではなく「経営者個人にどのような税金が発生するのか」という視点も重要になります。
ミニマムタックスそのものが多くの中小企業経営者に直接影響するわけではありませんが、会社経営と個人の資産形成・事業承継を一体で考える重要性が高まっていることを知るきっかけになります。
■令和9年度以降の制度変更にも注目
「今は関係ない」で終わらせず、税制の変化をチェック
ミニマムタックスは令和7年分から導入されましたが、令和9年度(2027年度)からは制度の見直し・強化が予定されています。
資産価格の上昇などによって、自社株式や保有資産の価値が大きくなっている経営者の方にとっては、将来的な資産売却や事業承継を考える際に、税制の変化を把握しておくことがより重要になってきます。
■8月は「会社の未来」を考える良いタイミング
8月は、日々の仕事から少し離れて、今後の経営について考える時間をつくりやすい季節です。
「今年の利益はどうなりそうか」という短期的な視点だけでなく、
- 会社を今後どう成長させるか
- 自社株式をどう引き継ぐか
- 将来の事業承継をどうするか
- M&Aという選択肢はあるか
- 経営者個人の資産をどう管理するか
といった、数年先を見据えた計画を考えてみるのもおすすめです。
税制改正は、一見すると自分には関係なさそうな制度でも、会社の成長や資産形成、事業承継のタイミングで関係してくることがあります。
■木村稔会計事務所にご相談ください
木村稔会計事務所では、税務申告や記帳といった一般的な税務会計業務だけでなく、経営計画や財務、事業の将来を見据えたアドバイザリーにも対応しています。
「ミニマムタックスは自分に関係するのか知りたい」
「自社株式の価値が上がってきたけれど、将来の税金が心配」
「事業承継やM&Aをそろそろ考えたい」
このようなお悩みは、具体的な計画を決める前の段階でもご相談いただけます。
8月のこの機会に、目の前の税金だけではなく、会社と経営者ご自身の将来を見据えた税務・財務戦略について考えてみませんか。
「何から考えればいいのか分からない」という段階でも、ぜひお気軽にご相談ください。




