7月は、事業者にとって税務・労務の手続きが集中する時期です。
源泉所得税の納付、労働保険の年度更新、賞与支給後の社会保険対応など、経理担当者や経営者の方にとって慌ただしい季節ではないでしょうか。
その中でも特に注意したいのが、7月10日の源泉所得税の納付期限です。
とりわけ、「源泉所得税の納期の特例」を利用している法人や個人事業主の方は、1月から6月までに徴収した源泉所得税を7月10日までに納付する必要があります。
毎年発生する手続きではありますが、
- 気づけば期限が迫っていた
- 給与計算は終わっているが納付準備ができていない
- 半年分まとめて納付する金額の大きさに驚いた
- 納付資金を十分に確保できていなかった
というケースも少なくありません。
7月は夏季休暇の準備や繁忙期への対応などで本業が忙しくなりやすい時期です。
また、上半期の売上状況や利益を確認し始めるタイミングでもあり、税務関係の手続きが後回しになってしまうこともあります。
しかし、源泉所得税は事業者が従業員や報酬受給者から預かっている税金です。
会社のお金ではなく、一時的に預かっている国への納付金であるため、納付漏れや期限後の納付には十分注意しなければなりません。
■源泉所得税とは?給与や報酬を支払う事業者が知っておきたい基本
①源泉所得税の仕組み
源泉所得税とは、給与や報酬などを支払う際に、支払者が所得税をあらかじめ差し引き、受け取る人に代わって国へ納付する制度です。
従業員が個別に所得税を納めるのではなく、会社や事業者が徴収し、納付する仕組みになっています。
源泉徴収の対象となるものには、次のようなものがあります。
- 従業員への給与
- 役員報酬
- 賞与
- 税理士・司法書士などへの報酬
- 講演料
- 原稿料
- 一部のデザイン料
- 芸能関係報酬
などです。
②「外注費だから大丈夫」は危険かもしれません
近年では、フリーランスや個人事業主へ業務委託を行う企業が増えています。
そのため、
「これは外注費だから源泉徴収は不要だと思っていた」
「個人への支払いだけど対象になるか分からない」
というご相談も少なくありません。
報酬の内容や契約形態によっては源泉徴収が必要となるケースがあります。
誤った判断のまま支払いを続けてしまうと、後から追加納付が必要になる可能性もあるため注意が必要です。
■納期の特例を利用している方は7月10日に要注意
①源泉所得税の納期の特例とは?
通常、源泉所得税は毎月納付することが原則です。
しかし、従業員が常時10人未満の事業者で一定の要件を満たしている場合は、「納期の特例」を利用することができます。
この制度を利用すると、
- 1月〜6月分 → 7月10日まで
- 7月〜12月分 → 翌年1月20日まで
と、年2回にまとめて納付することが可能になります。
毎月納付する手間を軽減できる便利な制度ですが、一方で半年分をまとめて納めることになるため、納付額が大きくなりやすい点には注意が必要です。
②納税資金の準備はできていますか?
納期の特例を利用している場合、
「予想以上に納税額が大きかった」
「給与が増えたため想定以上の金額になっていた」
「資金繰りを考慮していなかった」
というケースもあります。
特に近年は賃上げや採用強化を行っている企業も増えており、前年より納付額が増加していることも珍しくありません。
源泉所得税はあくまで預かっている税金です。
事業資金と混同せず、計画的に確保しておくことが大切です。
■源泉所得税の納付が遅れた場合のペナルティ
①不納付加算税とは?
源泉所得税を期限までに納付できなかった場合、不納付加算税が課される可能性があります。
これは期限内に納税しなかったことに対する追加負担です。
原則として、
- 税務署から指摘を受けた後に納付した場合:税額の10%
- 自主的に気づいて納付した場合:税額の5%
となります。
ただし、
- 過去1年間に遅延がない
- 法定納期限から1か月以内に自主納付した
- 不納付加算税額が5,000円未満
など一定の場合には免除されるケースもあります。
②延滞税とは?
延滞税は、納期限の翌日から納付日までの日数に応じて発生する利息のような税金です。
納付が遅れるほど負担は増えていくため、
「数日だから大丈夫」
という考えは禁物です。
延滞税は年利計算となるため、放置することで負担が大きくなる場合もあります。
※延滞税の計算結果が1,000円未満なら課税なし
■源泉所得税でよくあるミスと注意点
①外注費の源泉徴収漏れ
近年増加しているのが、フリーランスや個人事業主への支払いに関する源泉徴収漏れです。
特に、
- デザイナー
- ライター
- 講師
- 士業
などへの報酬は判断が必要になります。
「経費だから大丈夫」
という認識だけで処理すると、後々修正が必要になるケースがあります。
②給与計算ソフトの設定ミス
給与計算ソフトを導入していても安心とは限りません。
実際には、
- 扶養情報の更新漏れ
- 設定誤り
- 税額表の適用ミス
- 入社・退職時の情報更新忘れ
などによって、正しい税額が計算されていないこともあります。
毎年同じ設定を使用している企業ほど、一度確認しておくことをおすすめします。
■7月は税務管理を見直す絶好のタイミング
7月は源泉所得税の納付だけでなく、事業の上半期を振り返るタイミングでもあります。
この機会に、
- 給与計算の運用方法
- 源泉徴収対象の確認
- 納付漏れの有無
- 外注費の処理方法
- 今後の資金繰り
などを見直しておくことで、下半期の経営をよりスムーズに進めることができます。
「処理方法は合っているのだろうか」
「納税額に間違いはないだろうか」
そんな小さな不安を放置しないことが、将来的な税務リスクの軽減につながります。
■木村稔会計事務所へお気軽にご相談ください
源泉所得税は毎年発生する税務手続きですが、納付期限が限られているため、つい後回しになりがちです。
しかし、期限後の対応は追加負担や事務負担の増加につながることもあります。
木村稔会計事務所では、源泉所得税の納付、給与計算の確認、外注費の源泉徴収の判断など、事業者様の税務に関するご相談を承っております。
7月10日の納付期限直前で慌てないためにも、ぜひ早めの確認をご検討ください。お気軽にご相談をお待ちしております。




